楽天モバイルを固定回線として使い始めて1年半。今回は長期運用の実データとともに、なぜくろみつが多くの選択肢の中から「楽天モバイル+L11」という構成に辿り着いたのか、その真相を振り返ります。
振り返りなので、内容の一部が試行錯誤編と重複する部分があります。ご了承ください。
1.試行錯誤編→2.端末・回線準備編→3.開通・設置編の順にお読みください。
1. 私が「光」を捨て、「楽天モバイル」を選んだ理由

かつての私は、マンションの宿命である「VDSL方式」の低速に耐え忍ぶ日々を送っていました。理論値は100Mbps。実測値では70Mbpsまでしか見たことがありません。設備の問題なので半ば諦めていました。およそ10年の利用です。家庭用の光回線がMAXで100Mbpsの頃は遜色なかったのですが、やがて1Gbps、2Gbps、10Gbpsと光回線はどんどん高速化していく中、あいも変わらずの70Mbps・・しかもこれは実測した中での最高値です。平均では30~40Mbpsといったところでした。
そこに突如、救世主として現れたのが、auひかりの「G.fast」サービスでした。月額料金が4,180円。速度は理論値で下り最大664Mbps、上り最大166Mbpsです。私のマンションには運良くauひかりが入っていたので調べるとG.fastにも対応済みということで、私は喜び勇んで乗り換えました。直前まで光コラボで月額料金が3,600円程だったので600円上がりましたがメリットが遥かに上回っていると判断しました。
加入当初は300Mbpsを叩き出し、以前の4倍以上のSpeedに歓喜します。回線の品質も安定していて落ちることを殆ど経験しませんでした。しょっちゅうスピードテストしていたわけではありませんが、混雑時間帯でも安定したSpeedが出ていました。大変満足して、約4年利用しました。しかし、平穏は長く続きません。考えることは皆同じ・・
同じマンションの住人が一斉に乗り換えたのか、速度はみるみる低下。ついには元のVDSLと同等の70Mbpsまで落ち込んでしまったのです。安定感は抜群で、回線が切れた記憶もありませんでしたが、「同じ速度なのに、月額だけ600円高い……」という不条理が、私を次なる探求へと駆り立てました。

ねえ先生!300Mbpsも出てたなら、そのまま使えばよかったじゃん。なんでわざわざ変えたの?贅沢病?

こらこら、言葉に気をつけなさい。最初は良かったんだよ。でもね、同じマンションの人たちが一斉に乗り換えたせいで、一つの道路をみんなで奪い合う大渋滞が起きちゃったんだ。これを『共有回線の悲劇』と言うんだよ

補足いたしますと、安定感こそあれど、月額料金だけが以前より高いまま速度が落ちたのですから、くろみつ様が不満を感じられるのは当然の理かと存じます
2. 消去法の末に見つけた「最適解」
乗り換え先を検討しましたが、状況は絶望的でした。
- 他社の光回線: 結局はマンション共用部の設備に依存するため、VDSLに戻るだけで速度改善の望みは薄い。
- ケーブルテレビ: 導入している集合住宅でしたが、「速度が遅い」という評判に加え、宅内工事が必要。乗り換えにはかなりの勇気がいります。よって無し。
- 大手ホームWi-Fi: 調べてみると利便性と引き換えに月額料金が少し高く、さらに高額な端末代を分割で支払うという縛りも気になりました。
そこで浮上したのが、既にスマホで4年ほど利用していた「楽天モバイル」でした。

でもさ、外から飛んでくる電波って不安定なんでしょ?ゲーム中に切れたら俺、叫んじゃうよ!

いい質問だね。確かに『賭け』ではあったよ。でも、スマホで4年使ってきて、年々電波が良くなるのを肌で感じていたんだ。特に自宅は2年ほど前から5Gエリアに入って、感度も良好。端末さえ安く手に入れば、すぐに試す価値はあると踏んだのさ

電波の入りやすさは、くろみつ様が4年間スマホを使った経験という確かな裏付けがございました。そこで、ネットオークションにて格安のL11を調達されるという、極めて合理的な一手を打たれたのでございます
3. 圧倒的なコストパフォーマンスと「工事なし」の自由
現在の私の構成と、一般的な相場を比較するとその差は歴然です。マンション住まいの私にとって、この差額は大きな魅力でした。
| サービス形態 | 月額料金(目安) | 備考 |
| 楽天モバイル(L11) | 3,168円 | 工事不要・縛りなし・家族割込 |
| 一般的な光回線 | 4,200円〜6,500円 | マンション〜戸建ての平均 |
楽天モバイルなら月額3,278円。そこから家族割(-110円)が引かれ、月々3,168円。この料金でデータ無制限のホームWi-Fiは他にありません。しかも、光回線のような工事待ちのストレスがなく、解約も自由。旅先に持っていって使うことだって可能です。

げっ、安っ!浮いたお金で毎月ガチャ回せるじゃん!工事もいらないなら、引っ越ししたときも楽だね

ははは、九九丸らしいね。でも、固定費を年間1.2万円以上削れるというのは、生活防衛としてはかなり強力な武器になるんだよ。工事の立ち会いがないというのも、忙しい現代人には金額以上のメリットだね
4. 利用1年半の総評:動画とゲームのリアル
実測データ】楽天モバイル×Speed Wi-Fi 5G L11 の1週間
利用開始から1年半、実際の通信品質はどうなのか。直近1週間の計測データを時間帯別に集計した結果がこちらです。
| 計測時間帯 | 下り平均 (Mbps) | 上り平均 (Mbps) | Ping平均 (ms) | Jitter平均 (ms) |
| 08:00台 | 116.32 | 35.08 | 40.48 | 413.56 |
| 13:00台 | 106.39 | 23.94 | 45.69 | 291.60 |
| 20:00台 | 110.88 | 31.32 | 37.76 | 431.18 |
データから読み解く「快適さ」と「弱点」
数値を見ると、この回線の特徴がはっきりと分かります。
- 動画視聴には「完璧」な速度 下り速度はどの時間帯も100Mbpsを超えて安定しています。YouTubeの4K動画視聴に推奨される速度(20Mbps程度)を大幅に上回っており、総評にある通り「不満なし」の結果がデータにも表れています。
- Ping値(応答速度):リアルタイム通信の「生命線」 Ping値は、自分の操作がネット上のサーバーに届き、その反応が返ってくるまでの「往復時間」です。数値が小さいほどキビキビと動き、大きいほど「ラグ(遅延)」が発生します。 今回の計測では平均 35〜45ms という結果でした。これはWebサイトの閲覧や動画視聴には十分な速さですが、コンマ一秒を争う格闘ゲームやFPSでは、わずかな操作の遅れとして感じられる水準です。
- 「Jitter 400ms超」が意味する不安定さ 実は、今回のデータで最も深刻なのがこの Jitter(ジッター) です。これは「Ping値がいかに激しく変動しているか」を表す指標です。 今回の平均400ms超という数値は、たとえるなら「さっきまで時速40kmでスムーズに届いていたデータが、次の瞬間には突然立ち往生する」ような、極めて激しいムラがある状態を意味します。
実際の使い勝手ですが、YouTubeやその他の動画配信サービスについては、何の不満もありません。4K動画も快適そのものです。ブラウジングと動画を観る程度の使い方であれば不便は感じません。料金を含めて総合的にかなり満足しています。
ただし、ゲーマー視点では注意が必要です。『PUBG』、『フォートナイト』、『Apex Legends』などのバトルロイヤル系のゲームは正直、厳しいのではないでしょうか。やったことはないですが。
私はネット麻雀を嗜みますが、対局中に時折、回線が落ちることがあります。auひかりではほとんど見られなかった現象なので、楽天回線かL11の品質に起因している可能性は高いでしょう。

あーあ、やっぱり落ちるんじゃん!これじゃプロ雀士にはなれないね!

厳しいね。確かにコンマ一秒を争うゲーマーには参考にならないかもしれない。でも、自分のライフスタイルで何を優先するかだね。くろみつさんにとっては動画が快適に見られてこの安さなら、十分合格点なんだよ。
次回、番外編予告:ネットワークの「迷宮」へ
順風満帆に見えた楽天モバイル固定回線化生活。しかし、録画サーバー「nasne」に異変が……。

えーっ!録画できてないとか、一番ショックなやつじゃん!回線のせい?ねえ、回線のせいなの!?

九九丸様、落ち着きなさいませ。その真相は……次回の番外編『nasne復旧奮闘記:ハブと外付けHDDで挑んだ、ネットワーク負荷分散の真実』にて、詳しく紐解いてまいる所存でございます


コメント